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<編集部からのコメント>
長らく議論が続いていた2014年4月以降の住宅ローン減税(控除)ですが、細かい仕様はさておきようやく概要が固まりましたね。マイホームの購入を検討されていた方の多くはやきもきしていたかもしれませんが、これでスッキリしたのではないでしょうか。
最近、何度も書いていて恐縮ですが、新しい住宅ローン減税の枠組みは以下の通りです。
1.住宅ローン減税額を年間20万円→40万円に拡充
※対象住宅ローン残高の上限を2,000万円→4,000万円に引き上げ
2.住民税の控除上限9万7,500円を最大13万円超に引き上げ
3.それでも使い残した減税額・控除額を現金給付
減税額の上限が大きく拡大するわけですから、新旧の住宅ローン減税を比較すれば、新しい住宅ローン減税がお得なのはもちろん間違いありません。
問題は、ご存知の通り同じタイミングで消費税も増加するということですね。消費税増税の悪影響を相殺するための住宅ローン減税の拡充なので当然のことではあるわけですが。
そんな訳で住宅ローン減税拡充の概要が固まった今、次の問題として、新しい住宅ローン減税を利用した方がいいのか、それとも消費税増税前に住宅を購入した方がいいのか、という疑問が出てきます。
記者の拙い理解では、新しい住宅ローン減税を利用した方がいい方というのは以下のグループです。
・住宅ローン減税額(控除額)と比べて、実際に支払っている納税額が少ない人(減税額を使い残す人)
・住宅ローン借入額が3,000万円〜5,000万円などの高額な人
その根拠についてご興味がある方はこちらもご参照ください。
>>>新しい住宅ローン減税、控除額は年最大40万円に決定!
逆に言えば
・住宅ローン借入額が3,000万円未満で減税額の使い残しがあまりないであろう人
・住宅ローン借入額が5,000万円超の人
と言った方々はむしろ今の住宅ローン減税の枠組みで良いので、消費税増税前に購入した方がお得になる可能性があります。
ただしこうした増税・減税の影響は、ご自分の納税額と住宅ローン借入額、そして建物の値段(消費税は建物にしかかかりません)によって大きく変わります。気になった方は電卓と給与明細や年末調整の明細を片手に試算してみてはいかがでしょうか。
記者自身は上記の通り全体で見れば、消費税増税前に購入した方がお得になる人がやや多いかな?と感じていましたが、その後の報道などを見るとむしろ新しい住宅ローン減税(控除)を利用した方がお得になるケースの方がやや多いというトーンのように感じました。
その根拠は「減税額を使い残す人」が意外に多い、ということですね。実際のところはどうなのでしょうか・・・。
ちなみに上記記事では住宅価格3,000万円(建物2,000万円+土地1,000万円)、住宅ローン3,000万円のケースで、年収が500万円と700万円の場合とで消費税と減税額の変化を試算しております。詳しくはこちらですね。
消費税が5%の時は現・住宅ローン減税、消費税が8%と10%の時は新・住宅ローン減税ということですが、この試算を見る限り消費税増税により増税額が60万円〜100万円増えるのに対し、減税額は23万円〜56万円しか増えず、どちらの年収の場合でも「増税前に購入した方が得」という結論になります。
今までの報道のトーンとは真逆の結果ということになりますね。
繰り返しになりますが、こうした損得は完全にケースバイケースですので、どちらがより一般的なのか、現段階では記者は判断しかねますが、真逆の結果となった最大の要因は「住宅価格における建物価格の割合」ということになるのではないかと思います。
消費税は建物にしかかかりませんので、住宅価格の中の建物価格の割合が大きければ大きいほど、増税の影響が大きく不利に働きます。上記試算の住宅価格3,000万円=建物2,000万円+土地1,000万円、という割合は住宅価格の67%を建物価格が占めるわけでかなり大きいですね。これが足を引張った可能性が高いです。
戸建てであれば一般的には土地と建物は50%ずつ、つまり住宅価格3,000万円=建物1,500万円+土地1,500万円といったパターンの方が多いのではないでしょうか?だとすれば逆に「新しい住宅ローン減税を利用した方が得」という場合も増えてくると思います。
反対にマンションであれば、一般的には建物価格は住宅価格の7割程度と言われていますので上記試算にほぼ準ずる結果となりそうです。マンションの場合は増税前に購入した方が良い場合もあり要注意と言えるかもしれませんね。
ただし。
上記試算を別の見方で見てみれば「損か得かと言っても80万円に満たないレベル」とも言えます。80万円はもちろん実額で見れば少なくない金額ですが、ただ3,000万円という住宅価格全体から見れば相対的に少ない金額であるのは間違いありません。
たとえば3,000万円の住宅と3,080万円の住宅があれば、その80万円の差に注目するよりも、「ほぼ同じ値段」と考えて立地や間取り、方角、広さ、仕様などに注目するのではないでしょうか?
あるいは2,910万円の物件と2,990万円の物件と言い換えてもいいかもしれませんね。こうなると80万円の差は「誤差の範囲」に思えてくるので不思議です。
いずれにしても最も大切なのは、一生住みたいと思える物件に出逢えるかどうかですね。妥協したり、慌てて購入したことで、後から住み替える羽目になれば、その何倍もの追加コストが発生することになります。
多額の買い物だからこそ少しでも安く購入できるのに越したことはありませんが、それが妥協や冷静さを欠くことにつながれば本末転倒ですね。
消費税増税と住宅ローン減税拡充のインパクトを正確に把握することは返済計画を立てる上でも大切ですが、その金額に拘泥することがないよう注意したいものです。これから住宅取得を検討されている方は参考になさってください。